『ドッペルゲンガー』

関西エリアでもようやく『ドッペルゲンガー』が公開されました。
いやぁ、メチャクチャおもしろかったですよ〜♪ 黒沢映画にしては珍しく明快で爽快でハッピーエンドなフィルム! 余計な先入観は捨てて観よう!! 絶対にオモシロイから!!!




注意!! 以下のテキストは『ドッペルゲンガー』未見の方は読んではダメです!!!






構成はズバリ《太陰大極図》ですね。 
……早崎(役所広司)が彼の《分身》と対面する場面にもマークされていたりもしますから(苦笑)
鬱々としたホラーで始まり、能天気なコメディで幕を閉じるという意外にサッパリとした構成。
……メディカル・サイテック社(語感がサイコっぽいと思うのです)の早崎が会社を解雇され、開発した試作品をメディコン社(コメディだと思う)に運ぶという展開も象徴的だと思うんですよね。
人が誰も死なない前半部よりも流血を繰り返し、人が死にまくる後半部の方が笑えるという皮肉ですよねぇ。毒がキツイ!
万華鏡のように多彩な役所広司さんの演技は相も変わらず素晴らしい!の一言!!
それから、最近作で頻繁に使用される《画面分割》はデ・パルマ監督への挑戦状だと思いました。
奇をてらうだけじゃダメだろう!みたいな強い意志を感じましたね。


映画上映後。


黒沢清監督、舞台挨拶。パチパチパチ♪
以下、お話の内容を書き止めておきます。メモしていないので誤記とかあるかもしれませんが……


「最近、常識的な役柄の増えた役所広司さんに《悪役》を演じて欲しくて脚本を書き始め、《ドッペルゲンガー》の題材を取り上げることにしました」
ユースケ・サンタマリアさんは人のイイ役が多いけど正反対の役もおもしろいだろう思い、《濁った役ですが構いませんか?》と尋ねたらオッケーでした」
永作博美さんは純粋で年齢を感じさせない不思議な雰囲気が印象深くて一度、出演していただきたかった」
「わたしの映画に登場する《女性》は《悪い女》が多くて、こういう女性しか描けなくて、いや好みとかじゃなくて《女は怖い》という……。本作もやはり上手く立ち回る《悪女》で……」
「階段を転がり落ちるミラーボールに追いかけられるユースケさんには《速く駆け降りないと危険ですから》と注意しました。撮影後、彼は《本気で怖かった。演技をする余裕もなかった》と仰っていました。わたしの企み通りです(ニコニコ)」
……やっぱり監督、怖い方です(笑)。
「釜山国際映画祭のオープニング上映は屋外だったので新鮮でした。スクリーンのすぐ後で花火が打ち上げられたりしましたから……」
「次回作は脚本執筆中で来年から撮り始めることになりそうです。《怪奇な恋》になる予定です」
おおーっ! すっごく期待してしまいます!! 短い時間でしたけど、とても楽しかったです。マリアナ海溝よりも深く感謝です。