『ゲッペルスの贈り物』

ゲッペルスの贈り物』(作/藤岡真


※未読の方は間違ってもお読みになられませんように。


終戦間際、最終兵器「ゲッペルスの贈り物」を日本に運ぼうとするUボート艦内の緊迫した場面をプロローグに狂気の一夏の物語が動き始める……。
う〜ん。主人公の一人、「おれ」が「藤岡真」であることがわかった時点で、もう一人の主人公「わたし」も「男」であることがピンと来てしまいました。
まあ、それは構わないのですが、それよりも正体が割れた瞬間、「わたし」のキャラクター性が急降下して脇役以下にまで落ち込んでしまうのが残念。
それから主人公の名前が著者名と等しいという「遊び」がポリティカルサスペンスの側面に接触してしまい、作品のリアル感が殺ぎ落とされている点も残念。
テンポが良くてサクサクと読み進めることのできる痛快な作品であることは間違いありませんけど。
ところで、敵の名前の「春間源」はやっぱり「ハルマゲドン」のもじり?