『三人目の幽霊』

『三人目の幽霊』(作/大倉崇裕


※未読の方はお読みにならないでください!


大手出版社に入社した間宮緑はしかし「季刊落語」に配属される。
この季刊誌の編集長である牧大路は洞察力に優れ、緑が遭遇する「怪事件」を次々と解決する、快刀乱麻を断つ「名探偵」なのであった。


「三人目の幽霊」「不機嫌なソムリエ」「三鶯荘奇談」「崩壊する喫茶店」「患う時計」の五作を編んだミステリ連作短編集。
「不機嫌な〜」や「崩壊する〜」が、呈示された伏線の数々が最終的に一つに結束して驚愕の「絵」が描かれるという「これぞ本格!」という快作で、思い切り楽しめました。
しかし、別にこの五作を共通のキャラクターで作るという必要性は全く感じませんでしたね。
物語の構成要素の濃さに比べてキャラクター造形が弱すぎではないかと思います。