『スローグッドバイ』

『スローグッドバイ』(作/石田衣良
「恋愛」なんて刹那的な行為なのだから、それを扱う「恋愛小説」がだらだらと長いなんてありえない。そんなのは、まがい物。
「泣かない」「十五分」「You look good to me」「フリフリ」「真珠のコップ」「夢のキャッチャー」「ローマンホリデイ」「ハートレス」「線のよろこび」「スローグッドバイ」という短編小説十篇すべてを合わせても242頁というヴォリュームは気持ち良く読み進めるのに最適。
何れも読み心地は抜群に良いのだけれど、特に「ローマンホリデイ」の胸の奥がポッと暖かくなる感覚が忘れられない。一番、好みかも。
失敗したと思ったのは二日で読み終えてしまったこと。
あとがきにあるように、就寝前に一篇か二篇にとどめておけば良かった……やめられない止まらない状態で徹夜で読了になっていただろうけど。